医薬品の代謝特性研究では、薬剤が酵素発現を誘導または増強した時に酵素誘導試験を合わせて実施すると、併用薬剤の有効な血漿濃度を達成する際の潜在的な問題が明らかになり有益です。酵素誘導が起こると、活性代謝物の全身曝露の増大によって、代謝クリアランスまたは毒性が増加することがあります。
CYP 酵素(主に CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)の誘導は、ヒト肝細胞の単層培養における被験物質への暴露後に In vitro で測定されます。
初期実験では、CYP1A2、CYP2B6、および CYP3A4 酵素を誘導する可能性について調べます。CYP3A4 酵素の誘導が見られた場合、治験依頼者は CYP2C 酵素(CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19)の誘導の可能性も評価すべきでしょう。そして、その作用を調査中の CYP 酵素の陽性対照誘導剤によるものと比較します。また、Ex vivo 動物肝(通常はマウス、ラット、イヌ、またはサル)を用いて細胞下分画処理をし、安全性評価試験の際に In vivo 投与した被験物質の薬物代謝酵素に対する媒介作用を評価することもできます。
酵素誘導試験の規制に関する考慮事項
これらの研究は、FDA と EMA の薬物間相互作用(DDI)ガイドラインに基づいて、ファーストインヒューマン試験に進む前にシトクロム P450 (CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4)の誘導作用を評価するために推奨されています。
誘導データは臨床 DDI 試験の範囲と要件を決定するために用いられます。