著者:オンコロジー部門シニア科学顧問兼プロポーザルディベロップメント部門シニアマネージャー 、Erin Trachet
Date: January 2017
前立腺癌の早期発見は非常に困難であり、 患者はステージが進行するまで無症状のため、治療の選択肢が限られてしまいます。また、発見の遅れは転移性疾患の発生率も増やすことになります。進行期の前立腺癌は通常、骨とリンパ腺に転移します。
進行期(ステージ III または IV)の患者の予後が不良(5 年生存率が 28 パーセント)であることから、治療方法を確実に評価するためには予測前臨床モデルが必要です。進行性前立腺癌はほとんどの場合において、外科手術による切除が最適な治療プランとなります。ただし、これは、転移性病変の治療を化学療法、放射線治療、ホルモン治療のいずれかに託すことになります。皮下異種移植モデルには価値がありますが、原発組織で増殖する癌の複雑さや進行期の転移性疾患の治療における課題を捉えることはできません。同所性モデルと転移性モデルは治療反応だけではなく、原発組織と組織の微小環境への影響を評価する手段となり、生活の質の維持を試みるにあたって非常に重要となる場合があります。
同所性モデリング
In an effort to address this unmet need, Labcorp has developed an orthotopic and a metastatic prostate model, PC-3M-Luc-C6. この細胞株はルシフェラーゼでトランスフェクションされているため、生物発光画像法(BLI)による疾患と応答のモニタリングが可能です。同所性モデルは、前立腺に直接移植されます。前立腺での同所性腫瘍増殖は堅調で、罹患は 7 日までに現れます(図 1)。
図 1:同所性 PC-3M-Luc-C6 ヒトの前立腺癌 - 疾患の進行状態を示す代表的な画像 - 無治療対照群
ドセタキセルを使った治療は有効で、同所の腫瘍量を大幅に低減しました(図 2)。予測通り、ドセタキセルによる週 1 回の静脈治療(20mg/kg) は、体重の減少を誘発しました。この体重低下は、治療終了後に回復しています(図 3)。
図 2:同所性 PC-3M-Luc-C6 ヒト前立腺癌 - 総腫瘍量の平均 BLI シグナル
図 3:同所性 PC-3M-Luc-C6 ヒト前立腺癌 - 体重変化の平均 %
転移モデリング
転移性疾患を模倣するため、PC-3M-Luc-C6 細胞を心腔内注射で左心室に注入します。これにより全身に細胞が分散し、特に骨に絞り込んで定着させることができます。動物は骨の総 BLI シグナルに基づき、治療グループに段階別に分けられます。進行性疾患は、研究期間を通して BLI でモニタリングされます(図 4)。
図 4:転移性 PC-3M-Luc-C6 ヒト前立腺癌 - 疾患の進行状態を示す代表的な画像 - 媒介対照群
週 1 回のドセタキセルによる治療(20mg/kg で静脈内投与)も、転移性疾患に対して有効でした(図 5)。疾患が進行した場合のドセタキセルによる治療は、治療中に体重が減少することで知られているため、体重低下はこのモデルでは一般的です(図 6)。しかし、ドセタキセルによる治療を受けたグループの動物は治療終了後に体重低下から回復しています。これは、ドセタキセルによる治療が有効であったことを示すもう 1 つの指標となります。
図 5:転移性 PC-3M-Luc-C6 ヒト前立腺癌 - 骨の総腫瘍量の BLI シグナルの平均
図 6:転移性 PC-3M-Luc-C6 ヒト前立腺癌 - 体重変化の平均 %
Labcorp has further optimized a long bone specific metastatic model with PC-3M-Luc-C6; information not present here. Please contact us if you are interested in discussing this model or any of our PC-3M-Luc-C6 data further.
注:すべての動物管理および使用は、AAALAC 認定を取得した施設にて IACUC 手順の審査および承認を経て動物倫理規制に従い行われました。
お問い合わせはこちら
お問い合わせ