MDA-MB-231-luc-D3H2LN:トリプルネガティブ乳癌研究の高価なモデル

著者:オンコロジー部門シニア科学顧問兼プロポーザルディベロップメント部門シニアマネージャー 、Erin Trachet
Date: May 2016


乳癌は女性における最も一般的な非皮膚がんです。女性の8人に一人が生涯中に浸潤乳癌に罹患すると言われており、そのうち約10-20%(10人中一人以上)が トリプルネガティブサブタイプと診断されます(ER-, PR- and HER2-)。この種の乳癌を治療できる新薬の開発に、強い関心が集まっています。しかし、残念なことにこの種の発現プロフィールを持つ前臨床モデルは、数えるほどしかありません。

そのうちの一つのモデルが、51歳の白人女性の転移部位から派生したMDA-MB-231 ヒト乳腺癌細胞株です。このモデルは、癌研究コミュニティにとって非常に有益であることが証明されてきました。同所的インプラントをした際、肺やリンパ節に確実かつ自発的に転移するように、親系統のクローン(MDA-MB-231)が生成および最適化されました。同所的インプラントは自然な、臨床的に重要な転移の過程が起きる環境を作ります。

自然転移するクローンMDA-MB-231-luc-D3H2LNはさらにルシフェラーゼを遺伝子導入し、研究者が遠位転移性疾患を発見および監視することを可能にしています。このモデルは当社の顧客が、原発同所性腫瘍に試験材料が及ぼす影響を評価し、さらに転移の行程も生物発光(BLI)による光学画像化で評価することを可能にしています。 We have validated MDA-MB-231-luc-D3H2LN as a spontaneous metastatic model when implanted in the mammary fat pad.

図表1と2のグラフは原発性腫瘍の増殖(従来のキャリパー測定)そしてリンパ節に転移した疾患の進行具合を(BLI信号を毎秒のフォトン-photons/sec-で計測)表示しています。BLI画像(図表3)は、原発同所性腫瘍が遮蔽された時のリンパ節への転移の進行を示しています。

図表1:原発乳腺脂肪体腫瘍組織量
図表2:腋窩リンパ節ルシフェラーゼ信号の合計
図表1:原発乳腺脂肪体腫瘍組織量
図表2:腋窩リンパ節ルシフェラーゼ信号の合計
図表3:MDA-MB-231-luc-D3H2LN乳腺脂肪体同所性インプラント - リンパ節

図表3:MDA-MB-231-luc-D3H2LN乳腺脂肪体同所性インプラント - リンパ節

さらにラボコープは心臓内注射の後、MDA-MB-231-luc-D3H2LN が転移性骨モデルであることを確認しました。MDA-MB-231-luc-D3H2LN細胞は自然に骨に集中します。生物発光画像法の利用は、注入が成功したこと、また治療群が同等の骨腫瘍組織量を示している動物で構成されることを確かにします。それにより、統計的に優れた意義を持つ、より緊密なデータセットを提供できます。さらに疾患の進行、また治療への反応をBLIによって監視する能力は、実験の総期間における縦断的な評価を可能にします。

下記の図表4と5のグラフは疾患の進行と標準的な治療への反応、また一致する生存(罹患率と死亡率)プロットを表示しています。BLI画像(図表6)は時間の経過とともに対照群のマウスの疾患が進行する様子を示しています。

図表2:腋窩リンパ節ルシフェラーゼ信号の合計
図表4:原発乳腺脂肪体腫瘍組織量
図表5:寿命
図表4:原発乳腺脂肪体腫瘍組織量
図表5:寿命
Figure 6: MDA-MB-231-luc-D3H2LN Intracardiac Implantation – Nude Mice

Figure 6: MDA-MB-231-luc-D3H2LN Intracardiac Implantation – Nude Mice

 

当社のオンコロジーモデルについての詳しい情報、あるいはお客様の次期研究をラボコープがどのようにお手伝いできるかについて、ぜひお問い合わせください。


参照

注:すべての動物管理および使用は、AAALAC 認定を取得した施設にて IACUC 手順の審査および承認を経て動物倫理規制に従い行われました。

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